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小規模短時間ディサービス見学レポート

2010年4月17日、小規模短時間ディサービスを見学する機会を得た。私たちマッサージ師にとって今注目の業態であり、有意義な時間を過ごすことができたので、その概要に私見を交えて報告する。

今回、見学させて頂いた施設は、埼玉県川越市に拠点を置くカナオディサービス様(以下、敬称略)である。カナオディサービスは、有限会社カナオが母体となり7年前に設立された。(有)カナオは10年以上に渡り鍼灸マッサージ治療院を運営する地元に根ざした企業である。利用者定員は9名と小規模であるが、介護職4名、マッサージ師2名と手厚い人員でサービスに当たっている。

この施設の最大の特徴は、通所時間内にマッサージや鍼灸治療を受けることができる点である。利用者はバイタルチェックの後、機能訓練とマッサージを受け、約3時間の通所時間を過ごす。水分補給を兼ねたお茶の時間はあるものの、食事や入浴などは行わず、機能訓練に特化した形である。機能訓練といっても小さなバランスボールや簡易式のエルゴメータ、手すりを利用した足踏み、プーリーなどで、最近注目を浴びるパワーリハビリの機械に比べれば簡素である。しかし、家庭でも可能な機能訓練を行うことで、帰宅後の活動性向上を目指しているのではと推察した。

(有)カナオでは、利用者中心に周囲との関わりを非常に大切にされている。
この企業は、医療保険取り扱いによる訪問マッサージ部門も運営している。利用者は、身体の状態に応じて訪問とディサービスを使い分けることができる。訪問マッサージは、個々の介護環境に応じたきめ細やかな対応が特徴である。機能訓練が進み、通所可能になればディサービスを通じて、さらに積極的な廃用予防を目指す。まさに介護度に関わらず利用者に寄り添うことでできるのである。

また担当ケアマネージャーに対しては、施術や通所記録に加え、数ヶ月毎の評価や目標設定などを書面で報告する。同時にサービス担当者会議に参加することで、チーム内での情報共有も大切にしているという。一見当然のように思うが100人近い利用者をたった数人で行うには、スタッフの方の努力と情熱なしには難しい。

今回最も感じた点は、利用者が自ら機能訓練に参加されている点である。利用者の中心が要支援や要介護1など比較的介護度が低いことも一因だと思う。しかし、常に空きを待っている方がいらっしゃるだけあり、皆非常に積極的である。利用者に対してスタッフの数が多いことも、安心して取り組むことができる重要な要素であろう。
我々の施術の中でも、レクリエーションや集団リハビリの意義が理解されず、ディサービスを中止してしまう患者さんは多い。そのような方は、往々にしてリハビリテーションに対する意欲は非常に高い。まさにこのような施設が最適なのである。

この施設は単にマッサージを受けることのできるディサービスとしてだけでなく、現在不足が伝えれている通所や訪問のリハビリサービスとしての役割や長時間のディサービスになじむことできない若年層の高齢者の受け皿としての役割も担っている。現在、他地域においても同様の施設を運営されているとのことで今後さらなる発展が強く期待される。

今回の見学をご快諾頂いた有限会社カナオ様並びに、多忙に関わらず詳細なご説明を頂いた相談員の方に心から御礼申し上げます。

公式ホームページ

有限会社 カナオ
http://www.kanao.jp/